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光と影

こいずみ ゆり

今日の心の糧イメージ

 陽の光が眩いこの季節になると「マリアさまの手をにぎり」という歌が誕生したときのことを思い出します。

 アルバム録音のために上京した翌朝のことでした。宿泊先から駅に向かう途中にある大きな公園を通り抜けようとしていた時、高い樹々から木漏れ日がキラキラと降り注がれてきました。

 それはまるでマリア様がほほえみかけてくださっているかのような優しい光でした。

 その時「マリアさまのほほえみは木漏れ日のように わたしの心のなかに静かに注ぐ」という歌詞がわたしの心に浮かびました。

 実はその前夜、不安に襲われることがあり、わたしはとても暗い気持ちになっていました。翌朝、朝食もそこそこに宿泊先を飛び出したわたしを待っていたのがこの公園であり、木漏れ日だったのです。

 この体験がなければ、今、みなさんに愛唱していただいている歌「マリアさまの手をにぎり」は生まれていなかったでしょう。

 わたしたちの人生には晴れの日もあれば雨の日もあるでしょう。そして気持ちにも身体にもコンディションの浮き沈みがあるでしょう。でも影に覆われていると感じる時は、実は光が近くにある!影が濃いほど、強い光が近くにある! そう教えられたような体験でした。

 聖書ではイエスさまが十字架上で命を捧げられたとき、「全地は暗くなった」と書かれています。(参 ルカ23・44)

 そしてその三日後にイエスさまは「永遠にかげることのない全世界を照らす光」として復活されました。

 世界が闇に包まれたと思うとき、また自分自身が暗い影に覆われていると感じるとき、実は大きな光が近くまで来ているしるしかもしれません。心の眼をしっかりと開いて、光に気づくことができますように。