2023年5月に、コロナの第5類感染症への移行がありました。
人々の顔も、少し明るくなった気がします。町には、マスクをつけない人々も見かけられるようになりました。
それで、思い出したことがあります。2020年の3月、私は東京カトリック神学院の責任者でした。コロナが流行り始めた頃だったので、集団生活をしている箇所で多くのクラスターが発生していました。
神学院も寮生活です。4月からどうするかの決断を迫られていました。
私は考えました。もし4ヶ月ほど休校にすると、神学生たちはそれぞれの場所で、教会や家庭に閉じこもり、なにもすることがなく、退屈した暮らしにならないか。神学院に来て生活するのは集団生活の危険はあるけれど、幸い敷地が広いので大丈夫なのではないか?と。
それで、1回だけ東京に移動するだけで、その後、夏休みまでを注意深く生活し、学ぶ機会があり、生活のリズムも保たれ、人と人との関わりも深まるのでは?と、神学院を開始することを決断したのです。
台所の職員の配慮、事務職員の通勤、マスクやアルコールなど衛生用品の確保、神学生の協力など、本当に多くの人の支えが胸に染みました。
ストレスをため込まないように、1ヶ月に1度か2度は、宅配のピザやお寿司で食事を盛り上げました。
そして、この頃気付いたのですが、神学院が小さな森の中にあることで、野菜作り、スポーツ、散歩など、神学生たちに潤いを与えていたのだと思います。教室の窓から見える木々や草花の存在が、この3年間の神学生たちのストレス発散、そして自分の未来を考える意欲の育成に大いに役立ったと確信出来るようになりました。
自然の癒やしの力を改めて感じたコロナ禍でした。