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人との絆

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 今から10年以上前のことになります。東日本大震災・大津波で大きな被害を受けた岩手県の大船渡教会にいた時、まだ、あちらこちらに津波の爪痕が残されている中で、日本各地から多くの方々が教会を訪問してくださいました。その時、「何か困っていることはありますか?」「必要なものはありますか?」「何かお手伝いすることがありますか?」という質問が口々に寄せられていました。大震災から半年が過ぎ、被害を受けた方々が仮設住宅での生活を送っている頃のことです。これからの生活再建に向けて、被災された方々のニーズも多岐にわたっている頃でした。

 そんな時、私はこう言い続けました。「どうか、被災された方々とお友達になってください。お友達なら、必要なものを聞くことができるでしょう。お友達なら、日々の状況を尋ねることもできるでしょう。だから、被災された方々とぜひ、お友達になってください。」。

 私たち一人一人の力は小さなものです。一人だけの力では、被災されたすべての人のために何かをすることは不可能です。しかしながら、数人でもお友達ができれば、そして、お友達になってくださった方の数が増えていけば、お互いに助け合うことも可能になるのです。

 聖書によれば、イエスという方は、いろんな人たちと絆を結び続けておられたようです。特に、社会から見捨てられていた人々、罪人とされていた人々と絆を結び、その絆を大切にし、食事まで共にしておられたのです。それだけでなく、このイエスという方は、現代に生きる私たち一人一人ともゆるぎない固い絆を結ぼうとされています。この招きに応えて、イエスという方と、そして、多くの方々と絆を結び続けていきたいと思います。