誰かと仲良くしたい、良い関係を持ち続けたいと思うとき、私たちはそうなるように努力します。ときには赦し、ときには意見をぶつけ合い、あるときにはあえて距離を置いて冷却期間を作ったりもするでしょう。
そうして生まれた関係の中で、最も深く、強い種類のものが「絆」かもしれません。きっかけはさまざまでも、気付かないうちに深まり、強められていて、何かの拍子にふと、「ああ、こんな絆があったんだ」、「これが絆というものか」とあらためて感じられる。絆とはそういうものではないかと思います。仲間、同胞、同郷、同じ集団のメンバーになるなど、絆が生まれる背景があっても、努めて強めたり深めたりしないと持続しないレベルの関係は、まだ絆とは言えないのかもしれません。
何かの試練に直面するなど、絆がものをいう場面が生じたとき、絆は表面に姿を見せ、力を発揮するのでしょう。
一度生まれると、容易には断絶しないのも絆の特徴ではないかと思います。絆が脅かされる出来事があっても、それを乗り越えるとますます深まっているのが、絆ではないでしょうか。
人との絆はまた、私たちの想像を超えた大きな力が働かなければ生まれないように思います。長い付き合いの人と必ず絆が生まれるわけではないし、何かのきっかけで出会ってすぐに強い絆が生まれることもあるからです。反対に、ずっと続くと信じていた絆が、突然失われることもあるでしょう。絆とは、私たちには予想も想定もできない、摩訶不思議な展開なのです。
絆に気付くことが多いほど、人生は豊になるのだろうと思います。だから、絆に気付き、大切に深めていこうという意識は、人生において宝物なのではないでしょうか。