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人との絆

岡野 絵里子

今日の心の糧イメージ

 運動公園の中から子どもたちの声が聞こえてきた。覗くと、5、6歳の男の子たちが、楽しそうにボールを蹴って遊んでいる。

 日本のサッカー競技者人口は約81万人だそうで、今最も人気のあるスポーツだろう。

 スポーツは個人スポーツとチームスポーツに分かれるが、サッカーをはじめ、バレーボール、バスケットボール、野球など世界中で人気のあるスポーツはチームスポーツであることが多いようである。観客は、高い技術と才能を持った選手の活躍を見たいものであるし、また優れた選手たちが集まって、鮮やかなチームプレーをするところも見たいのである。

 彼らの鮮やかなチームプレーを支えているものは何だろうか。選手一人一人の能力を結集させるのは、選手同士の信頼なのではないかと思う。仲間を信じてこそ、ボールをパスし、託すこともできるのである。そこにはチームの絆が生まれている。

 私たちが大事にしているのは、この「絆」なのだ。人と人の深い心の結びつきのことである。人間は孤独を好む時もあるけれど、実際はひとりでは生きられない。他者と絆で結ばれていたいと願っている。誰かを信頼して仕事をし、自分も信頼されることで生きる。

 そして絆の存在を時々確認し、安心したりするのである。選手たちのチームプレーに感心する時も、サポーターたちと一体感を感じる時も。

 公園でボールを蹴っていた子どもたちも、やがてルールを覚え、技術を身につけ、協力し合うことを学んでいく。そして共に励む仲間という大きな宝物も得られるだろう。友情の絆ほど人の成長と喜びになるものはない。高齢の人たちが子供を眺め、微笑みながら公園の外をゆっくり歩いて行った。