親子に始まる人との絆は、兄弟姉妹に広がり、やがて孫、ひ孫へと引き継がれ、益々繁栄します。一方、知人・友人との絆も、親愛の情がある限り、事あるごとに強化され、濃厚になるように思います。
このように切っても切れない目に見えない「人との絆」の根源は、際立った愛情や友情にあるといえ、人生にとってこの愛情や友情ほど恩恵に富み、尊く貴重なものは、ないように思います。
愛情は、主として血のつながりによる親密・親愛の感情であります。一方、友情は、血のつながりはありませんが、友達・友人として共感できる尊重すべき感情を共有しているといえると思います。
畢竟、愛情と友情の絆によって、この世は支えられ、平和が保持されていると言っても決して過言ではありません。それだけに、家庭内での家族の愛情、外に出たときの友人、知人との交流に善意と和やかさを決して失うことなく、常に友情を大切にし、育み、育てる努力は、絶えず、続けなければならないと思います。
愛情、友情は、互いに理解し合うことができ、好意を持ち合うことができたときに、初めて生まれるものであります。このため自己主張するときは、同時に、謙虚に相手の主張、言い分に耳を傾けることを忘れてはなりません。傾聴の結果、相手の言い分に納得できれば、それでよし、納得できない場合は、苛立つことなく、その理由を和やかに問い正す努力を惜しんではなりません。
そのような真摯な努力があってこそ、なお一層相互理解が深められ、信頼関係が確立されるとともに、友人・知人との絆は、一層強化され、一生涯、長続きするに違いありません。