食材の選び方について話していて、興味深いことに気が付きました。健康志向や環境配慮といった考え方を取り入れている人の間で、実際に食材を選ぶ上で大切にしていることが一人一人微妙に違っているのです。
添加物を避けるために、パンは天然酵母、卵は平飼いで遺伝子組み換えでない餌で育った鶏のもの、野菜は有機栽培と、徹底的に自然な環境で作られた食品を選ぶ人もいれば、メタン排出削減に貢献しようと牛肉をなるべく食べないという人もいました。
経済面を考慮して、有機栽培よりも少し安価ですが、環境負荷が低く農薬が少ない特別栽培の野菜を選んだり、平飼いではないが餌は厳選された鶏の卵を選んだりという選択もありました。
納豆は体に良いと毎日食べている一方で、アミノ酸配合のたれには頓着せず愛用したり、スーパーの惣菜を頻繁に買ったりという現実的な人もいました。この場合、栄養素に着目し、添加物は気にしないという選び方になります。
食材選びひとつとってもこのように、現代は大切なことが細分化され、多様化していることがうかがえます。
一方で、互いに愛し合う、命を大事にするといった不変の「大切なこと」も存在します。イエスが説かれていることは、この「不変」のものに属するといえるでしょう。
一口に大切なことといっても、人類の歴史を通じて変わらないことと、時代とともに日々多様化していくものとがあるように思えます。現実の世界と霊的な世界の両方を生きる私たち人間にとっては、その両方が必要なのではないでしょうか。
いま、どこで、何が、どのくらい大切なのか、これを見極める魂の目が、結局は一番大切なのかもしれません。