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大切なこと

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 先日、神父をしている友人と出会い、会話から、互いに70歳前後の人生経験の重なりが何かを生み出しているといった感慨に浸ることが出来ました。

 友人は、キリシタンの歴史に興味があります。潜伏キリシタン的な地蔵像を自作したりしてマイペ-スで彼の関心を深めているのです。

 キリシタンの歴史と言えば、殉教や迫害を受け、転んでしまった人の末路などがよく言われていますが、友人は、キリシタンから影響を受けた一般の人がいるのではないかと探っているのです。

 例えば、人々に関心を持つ信徒組織、講組織、具体的にはロザリオの組、慈悲の組、サンタマリアの組などキリシタンの生活に深い影響を及ぼした組織に入っている人が、「慈悲の所作」という実践的なルールに従って行動し、周りの人に影響を及ぼしたとします。

 すると周りの人々はその論理に納得する人々だけでなく、論理は判らないまでも行動に感動する人々もいることになります。友人は、この行動に感動した人々が日本の社会になにかしら影響を及ぼしているのではないかと考えるのです。

 見えないところで、キリシタンの本質は、一般の人に伝わっているのではないか?この友人の問いは、私の人生の中にもひろがっています。聖書の言葉中心に生きるのではなく、それを踏まえながら、聖書の本質がいかに伝わっているかの方が大事ではないかとの問いかけです。

 だからからか、私は色々なところで研修をするとき、聖書の言葉を極力避けて、そのエッセンスを伝えるようにしているのです。

 友人のその言葉に励まされて、私の役割はこれでよいのだと、喜びと同時に確信を持ったその出会いに、ありがたいと思ったのでした。