▲をクリックすると音声で聞こえます。

大切なこと

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

(4月に放送したお話です)

 

 キリスト教の典礼では待降節をもって1年が始まり、日本の暦では、1月から新しい年がはじまりますが、やはり"新しい出発の時"というと、入園式や入学式、入社式が行われる4月というイメージがあります。

 自分の願った進路にうまく進め、そのスタートを切った方、あるいは、自分の希望が叶わないまま仕方なくスタートを切ってしまった方もいるかもしれません。

 しかし、いいスタートを切れたから、それで成功だというわけではありません。これからどんな思いを持って歩むのか、が大切なのでしょう。時には、前進するどころか、後退したり、踏みとどまったりすることもあるでしょう。でも、いつでもどこからでも、そこが"スタート地点"なのだということ。

 「・・・・なすべきことはただ一つ、後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ、神がキリスト・イエスによって上へ召して、お与えになる賞を得るために、目標を目指してひたすら走ることです」(フィリピ3・13~14)

 私たちの中には無限の可能性が秘められています。物事がうまく進んでいる時だけその可能性が花開くのではなく、時には、後退したり、留まっている時にこそ、自分でも信じられないくらいの力を発揮することがあります。マイナスからでもプラスからでも、いつでもスタート地点に立っているという思いは、その人を謙虚にさせ、その歩みを確かなものにするのかもしれません。

 最後に神様がどのような賞を与えて下さるのかはわかりませんが、"目標"に向かって走り続けている私に、神様はいつも必要な恵みを与えて下さっていることを確信しながら、新しい年度もまた新たな心でスタート地点に立てたらと思います。