「シャローム 悲しいときも/シャローム 苦しいときも/シャローム 神様がいつも いっしょにいてくださる...」(『カトリック典礼聖歌集』314番より)
この歌を初めて聞いたのは、修道会に入って間もない頃、実習で長崎の修道院に来ていたときでした。ちょうど3月だったので、併設されている小・中学校の卒業式に参加させていただいたのですが、そこで子どもたちのこの歌声を耳にしたとたん、みぞおちのあたりから熱いものがこみ上げてきました。卒業生でもないし、同窓生でもないのに、これはどうしたことだろうと、とても不思議でした。
それからも3月に長崎での実習があるとこの聖歌を聴く機会に恵まれましたが、そのたびに、心がきゅっと締め付けられるような、なんともいえない気持ちにさせられるのでした。
子どもたちのまっすぐな歌声からあふれ出るやさしさが、心を丸洗いしてくれるような、そんな不思議な感覚でした。
子どもの頃は、卒業する学校への愛着もあまりなく、卒業式で泣いたことはただ一度もありませんでした。また、転校などでずっと見送られることが多かったので、残される人の気持ちを考えたこともなかったように思います。未来に不安を抱き、現状に不満を漏らしても、過去の出来事を振り返って感謝することはほとんどない恩知らずだったなと、近頃反省しています。
今、その学校で働くようになり、毎年子どもたちの歌声を聴かせてもらっていますが、それでも慣れることはなく、卒業式のたびにいつも、きゅっとなってぱっと輝くような心にしてもらいます。子どもたちに、心から感謝。
「シャローム 旅立ちのとき/シャローム 祈りをこめて/シャーローム あなたに送る別れの言葉/シャローム 神の平和」