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旅立ち

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 聖書の中に、イエスさまが12人の使徒たちや72人の弟子たちを派遣するお話があります。この時、あらゆる悪霊に打ち勝ち、病気をいやす力と権能をイエスさまが弟子たちに授けた後、旅立ちにあたり、弟子たちに次のように告げられます。「旅には何も持って行ってはならない。杖も袋もパンも金も持ってはならない。下着も2枚は持ってはならない。どこかの家に入ったら、そこにとどまって、その家から旅立ちなさい。」(ルカ9・3~4)

 神さまの良い知らせを宣べ伝え、病人たちをいやす奉仕へと遣わすにあたり、道草をせず、ただただその奉仕に専念しなさい、他のことに気を取られてはいけません、とイエスさまは仰っているようです。そして旅立ちにあたって、準備するものはなく、ただただ神さまのお取り計らいにすべてを委ねなさい、と諭されています。

 ところが私自身を振り返ってみると、旅立ちの時には、様々なものを準備して持っていきます。持病の薬やスマホの充電器、下着や上着の着替えなどなどです。できるだけ必要最小限にしようと決めてはいますが、イエスさまが仰るような、何も持って行かないのはとても不安です。

 このような私ではありますが、旅立ちにあたっては、神さまのお働きにゆだねることにしています。時には、自分自身ではどうしようもない出来事が起こりましたが、今まで無事に旅の目的を果たすことができたのです。

 新しい人生の旅立ちを迎える方が多いこの時期、あらためて、神さまがいつも共にいてくださることをお伝えしたいと思います。時には、自分の思い通りにならないこともあるかもしれません。それでも、神さまが共にいて、必ず、皆さまの背中を押し続けていてくださるのです。