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放蕩息子の帰還

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 オランダの画家、レンブラントの有名な作品に「放蕩息子の帰還」があります。

 赤いマントを羽織った老人が、破れた服を着た若者の背中に温かく両手を置いている絵です。青年の左足は裸足で、右足の靴のかかとは破れています。

 これはルカ福音書15章のたとえ話を描いたものです。

 聖書によると、老人はお金持ちの父親で、若い男性はその次男です。ある日彼は父親に、自分が後でもらうことになっている財産を先にいただきたいと願いました。父は、兄と弟の二人に分け与えました。弟はすぐに外国に行って遊び暮らします。やがて彼はすべてを使い果たし、空腹を満たすお金すら残りませんでした。そこでようやく我に返り、父の家に帰って赦しを願い、使用人にしてもらおうと思うのです。

 この絵は「お父さん、私は罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません」と謝っている場面です。父親は叱責するどころか「この子は死んでいたのに生き返った」と喜んで祝宴を始めます。

 失った財産を計算もしません。これは神さまの無限の赦しを現わしています。私たち人間の頭では想像もつかないほどの大きな愛です。

 カトリック教会ではこの愛を今も「赦しの秘跡」と呼ばれる形で体験できます。信徒は神父さまをキリストの代理者として信頼し、年に何度も罪を告白して神からの赦しを受けます。十分に罪を後悔していれば神さまは喜んですべてを赦し、帰ってきた子どもを抱きしめてくださいます。

 私たちの人生は、数え切れないほどの過ちを神さまに赦していただきながら進むものでしょう。だから他の人の弱さも心から赦せるようになっていくのだと思います。