聖書によると、イエス様は御自分が選ばれた12人の使徒たちを二人ずつ組みにして、派遣しました。彼らがイエス様のところに戻った時、報告を受けたイエス様は、彼らに声をかけます。「さあ、あなたがただけで人里離れた所へ行って、しばらく休むがよい」。(マルコ6・31)
それは、使徒たちのところへ「出入りする人が多くて、食事をする暇もなかった」からだったのです。彼らにとって忙しい日々が続き、「安らぎ」の時がなかったようです。そこで、イエス様は、「安らぎ」の時を取るようにと使徒たちに勧めます。
ところが、「多くの人々は彼らが出かけて行くのを見て、それと気づき、すべての町からそこへ一斉に駆けつけ、彼らより先に着いた」のです。この有様を見てイエス様はひどく心を痛めて、いろいろと教え始められました。
ずいぶんと時がたった時、弟子たちは人々を解散させるようにイエス様に告げます。これに対してイエス様は、「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」と答えられます。(マルコ6・37)しかしながら、弟子たちの手元にあった食物はパンが五つと魚が二匹だけでした。
イエス様は人々を50人から100人ずつまとめて青草の上に座らせますそして「五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて、弟子たちに渡しては配らせ、二匹の魚も皆に分配」されたのです。
僅かな食べ物を増やすという奇跡物語の一つですが、「安らぎ」がなかった弟子たちだけでなく、お腹がすいて不安だった人々をも満たしたお話です。この物語は、さまざまに解釈されますが、「安らぎ」がなかった使徒たちや人々に対して、イエス様ご自身が働きかけ、満たしてくださるお話であることは間違いありません。