私には、富山県で暮らす姉がいます。二人の子どもに恵まれ、姪は現在大学3年生、都内に住んでおり、甥は地元の中学3年生です。二人が赤ん坊だった頃を思い出すと、〈時は、いつのまにか過ぎるものだ〉と、感じます。
それぞれに初めて対面した日を、今でも鮮明に覚えています。鎌倉にある実家で、私が早朝に目を覚ますと、生後まもない姪が隣の部屋に寝かされていました。窓から仄かに射す朝日に照らされて、嬉しそうに小さな手足をぱたぱたと動かしていました。その姿に、〈人は自らの命を歓ぶために生まれてきたのだ――〉と、直観しました。祖母、両親と私が笑顔で姪を囲む中、人は愛されるためにこの世に生まれてきたことを伝えるかのように、姪は微笑みました。
一方、6年後に生まれた甥とは、生まれて2ヶ月が過ぎた頃、初めて対面しました。私が富山へ旅をして、姉の家を訪れた際のことです。
家に入ると、姉に支えられてあぐらをかいた甥は、どしっとした態度で、私をじっと見つめました。
そんな甥もすくすくと成長し、再会した際には男の子らしく、私に無邪気に「遊ぼうよ!」と言い、キャッチボールをしました。私もすでに結婚し一児の父になっており、知的障がいと病をもつ息子がいました。甥と過ごす時間の中で、〈元気な男の子とはこのように遊ぶのか...〉と思ったものでした。
人生は旅に例えられますが、姪や甥、そして息子の命とふれ合う時、人はそれぞれが固有の命を輝かせる旅路を歩んでいるのだ、と気づきます。
時に悩む季節があっても人生の道のりは長いもの。今、姪は成人し、甥は中学生で思春期を迎え、息子は少年らしくなりました。3人が自分らしく懸命に生きる姿に声援を贈りたい気持ちです。