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旅路

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 旅路は遠くまで続くように見えますが、その旅路は神によって定められており、さまざまな出来事によって遮られることもあると思います。

 フランス革命時に殉教したコンピエーヌのカルメル会の福者、「聖アウグスチヌスのテレジアとその15人の殉教者」の最期の2年間を知り、心に刻みました。カルメル会の修道院長と姉妹たちの共同体としての生き方から、私自身、大きな転換を迫られました。

 今まで十字架のイエスを見つめて生きてきたつもりでも、旅路がずっと続くと思っている限り、それは霧のなかにいるようなものだと気づいたのです。

 フランス革命では、キリスト教弾圧と、大恐怖政治により、1792年9月14日、カルメル会の修道院から修道女たちは追い出され、三つの家にグループに分かれて避難しました。そこで修道院長の指導のもと、修道生活を送り、修道誓願の宣立も禁止されるなか、イエス・キリストの十字架に向かっていきます。まもなく修道女たちは全員、監獄に入れられ、断頭台での処刑が確定します。断頭台にのぼることに恐怖を感じる姉妹もいましたが、修道院長はこの共同体を導き、「愛はすべての勝利者です」と励まします。

 とうとう、断頭台にのぼる日がやってきました。1794年7月17日...。修道院長の前にひざまずき、その手のなかで姉妹たちは修道誓願を更新し、一人一人が神に対する愛と共同体への愛を示して、死におもむいたのです。

 この話は私自身の一日の始まりを新たなものにしてくれました。

 生涯をかけてキリストに近づくというより、一日一日を精一杯キリストに献げる、そして、教会の共同体や新しく出会う人々に対して、日々開かれた心を持つ勇気を得たのです。