旅行にでるとき、普通その計画はある程度はっきりしています。日程を組み、場所を設定し、目的に従って過ごし方、楽しみ方などについて考えます。
他方で、旅路、人生の旅路には、人間の一生、それは自分で計画したものではなく、それを超える力によって導かれてきたものという含みがあります。
旅路には人生をふりかえって、その足跡を辿るものというイメージがつきまといます。映画「フォレスト・ガンプ」の主人公が呟くように、「人生は箱詰めのチョコレートのようなもの」です。一粒手にとって口にふくむまで、それがどんなフレーバーかわかりません。人生も歩んでみないとわからない、神秘に満ちたものです。
中国の故事、「人間万事塞翁が馬」も同様のメッセージを送っています。人生なにがおこるかわからない。仮に悪い出来事がおこっても、それが福に転じることもあるし、逆に福が災いへと変わることもある。その過程においては、何とも判断のしようがない。人生、何がよいことで、何が悪いことであったかは、終わってみないとわからないと。
私たちの人生の旅路をふりかえっても、必ずしも計画したり、思い描いたりしてきた通りには進んでこなかったところが少なくないのではないでしょうか。
このような神秘的で、人の力や計画ではコントロールできない要素を多分に含んだ人生というものをどう捉え、これからそれとどのようにつき合ってゆきますか。
人間をこえたものに頼ることと、他方で自助努力も欠かせません。この拮抗した関係において、神さまにすべてをゆだねる術を学びたいです。自力と他力、努力と信頼、頑張りと委ね、この人生におけるバランスと神秘に身を委ねながら、どうかこの世での旅路を歩ませてください。