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親近感

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 シスターになった頃、私は、たくさんの人から「近づきやすい」と、よく親近感を持たれました。周りの年長のシスターたちの多くも、生活の中ではごく普通の身近な感じの人たちでしたが、職場や教会では責任ある立場や役職、教える側にあり、シスターというだけでどこか気の張る、近づきがたい印象を持たれたり、あるいは別世界の人というイメージを持たれたりしていたのかもしれません。

 私たちは、自分からはほど遠い人、なかなか隙を見せない人も、日常性や誰にでもあるような人間性、意外な面やその人らしさをふと垣間見せてくれるような時、かえってホッとして、親近感を感じ、好印象さえ抱くことがあります。そういうことがきっかけで、関わりが始まったり深まったりすることもあります。同じ立場の仲間であるという認識が、人に安心感を与え壁を作らない関係を築く大きな助けになるからです。

 神は、人が神に近づき、理解しやすいように、御子イエスを人として遣わされました。イエスは、私たちと同じように人として生まれ、成長し、人々の中に入り、同じ視点で、度々一緒に食事をされました。今も昔も、食事は「親しさ」のしるしです。イエスは、特に、当時、罪人とされた弱い立場の人々と積極的に関わり、「大食漢で大酒飲み」とさえ言われました。(参 マタイ11・19)イエスを非難する者の言葉で真偽のほどはわかりませんが、イエスがまさに普通の人として、パッとしないような日常生活を送り、よろこびや苦労も共に体験されたということです。そう考えると、神様にも親近感が湧いてきます。

 今年は、特に、自分の日常生活の体験の中で、イエスを思い出して味わっていきたいと願っています。