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親近感

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 これまでいろいろなタイプの人に出会ってきた。出会った時から、なんとなく親しみを覚える人だったり、ちょっと怖くて近寄りがたかった人が話していくうちに意気投合して、他の誰よりも仲良くなったり。あるいは、最初から最後まで心を開くことができなかった人だったり・・。

 でも、私が相手に様々な印象を抱くように、私も関わる相手に色々な印象を与えているのだろうと思う。できれば関わるすべての人に、親しみやすさを感じて欲しいと思い、優しく笑顔で、自分を取り繕って関わろうとすると、かえって相手に緊張感を与えてしまうこともある。

 聖書には実に様々な性格や特徴を持った人々が登場する。イエス様を取り巻く人々の姿を思い浮かべてみても一人ひとり個性的で、一人ひとりのすべてに、ではなくても、その人が持つある一面に親しみを感じる時がある。それはその人の失敗する姿や弱い姿だったりもする。

 例えば、復活したイエス様にただ一人会えなかった悔しさや寂しさに「イエス様の傷跡に触れなければ決して信じない」(参 ヨハネ20・25)と言うトマスの片意地を張った姿だったり、あるいは、イエス様を迎えて忙しくおもてなしの準備をしている横で、イエス様の傍にいて静かに話を聞いているマリアの姿に腹を立てるマルタの姿であったり。(参 ルカ10・38~42)

 その人が持つ優しさや笑顔に親しみを感じるように、その人の弱さや未熟さにも親しみを感じるのは、完璧でなくてもいい、ありのままの姿があなたなのだと語りかけられているからかもしれない。

 新しい年が始まった。今年も沢山の人々との出会いを楽しみにしながら、弱さも未熟さも抱えたありのままの私で人々と関われたら、豊かな一年になるように思う。