私は傾聴の活動をしています。悩みのある方のお話を聴いていることは以前もお伝えしましたが、今回は、電話での傾聴を通して、日々感じることを皆さんとわかち合いたいと思います。
心に深く悩みのある方の多くは〈辛い状況にいる今こそ、誰かに思いを聴いてほしい〉と感じており、電話を頂いた時、私が出られる時もあれば、出られないこともあり、その場合、必ず折り返し連絡をしています。出られない時は申し訳なく思いますが、傾聴の活動を長く続けるためには私自身も無理をしないことを意識しており、それは相手を大事に思い、耳を傾け続けることを可能にしています。
最近、電話をくれるMさんという方がいます。彼女はすでにご両親を見送りましたが〈私は親に愛されていなかった〉という思いがあり、心の傷になっています。Mさんの心を私が治すことはできませんが、重ねて話を聴くうちに、気づいたことがあります。それは、Mさんは自らの心の奥に解決のヒントや答をもっている、ということです。自分自身の葛藤を整理し、確認するように私に語ってくれます。その過程の中で、自らの歴史や心の在り方を客観的に見られる心理状態になっているように感じます。
私にヒントを求められる時は共に考えますが、良い話し相手になるためには、悩む人の思いに共感し、静かに頷くことで、自分を回復に導く内なる力を引き出すことが大切です。
一人で考えるより対話する人がいることで、気持ちが楽になることがあります。本心を話せる人と出会えることは希望の糸口になり得ます。
すぐに問題を解決できなくても、螺旋を描くように徐々に歩めるよう、私はささやかな傾聴の時間をもちたいと願っています。