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捧げる

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 「ぼくらが空を飛べるのは、みなさんのおかげなんです。ぼくは、あなたの声と一緒に飛んでます」

 これは、テレビ朝日で放送された、航空会社を舞台にしたドラマ、「NICE FLIGHT」で主人公の副操縦士が言ったせりふです。(私の記憶ですので、正確ではないことをお許しください)

 副操縦士になって3年目の青年主人公は、国内線で修行を積んでいます。ある日、天候不良の中で着陸したときに、大変的確で鋭い誘導をしてくれた女性管制官と「声を通した出会い」をします。

 彼は花形職業として注目されがちなパイロットの立場にありながら、自分のあり方を等身大に見詰め、常に人への感謝を忘れません。その姿勢が、観る人の心を打ちます。

 このドラマを見ると、飛行機一便が飛ぶために、いかにたくさんの人がかかわり、緊張が続き、協力が必要かが分かります。安全に飛行するための整備や連絡、管制官の瞬時の判断があって、初めてパイロットは実際に航空機を操縦できるのです。その感触が、実にリアルに伝わってくるのです。

 ドラマを観ていて、仕事とは与えられた力を捧げ合うことなのではないかと思いました。そんな折に、ちょうど「心のともしび」でこのテーマが出てきて、実は驚いているのです。

 私がものを書くときには、編集者や校正者など、様々な立場の方がサポートして本を仕上げてくださいます。会社の仕事では、デスクの方が記事の執筆者をフォローし、エンジニアさんたちがシステムを護ってくださいます。こうして、お互いが自分の仕事を捧げ合って、一つの結果が出るわけです。

 地球の全員がそういう気持ちで働けたら、素晴らしいことでしょう。世界がそういう仕事で溢れるよう願っています。