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導かれて

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 マザー・テレサは3度来日されて各地で講演され、数々の名言を残されている。その中で「祈ることを教わりなさい」との言葉が何故か忘れられない。信者になって数年だった私には祈ることの深い意味が分かっていなかったからだろう。

 そんな私も歳を重ね、今はその言葉が彼女の偉大な人生からの貴重な助言だったと少しは理解できた気がしている。

 マザー・テレサが汽車の中で祈っている時『最も貧しい人のために働くように』という神の声を聴き、そのお導きに全てを捨てて従い、インドの貧しい街の路上で死にかけている人々の介抱を、只一人で始めたのだと伝記で知った。

 マザーは、人種も宗教も関係なく誰もが神に愛されているということを知ってほしかった。介抱された人々にその想いが通じて、皆安らかに亡くなった。やがて彼女の働きに感動した人々が手伝い始めたという。

 彼女の奉仕活動の原動力は祈ることだった。願望を満たすための祈りではなく、神のみ旨を聴き、お導きを行う力を求める祈りである。

 聖書によると、イエス様はよく一人で静かに祈っておられた。天の御父の懐で安らぎ、神の愛の源泉から福音を伝える力を頂いていたのだ。

 マザーも毎朝、奉仕者と共に祈った。いつも笑顔で、ケアの必要な貧しい人たちに神の愛が届くようにと。この活動は『神の愛の宣教者会』として世界中に広まったのだ。

 命を捧げて人類の罪を贖ったイエス様の無償の愛を生きた模範として、彼女はカトリック教会の聖人となった。

 神は信じて祈る者のどんな小さな祈りも心に留め、その人の最善になるよう計らってくださる。私も、祈ると、慰めとチャレンジする力を戴き、例えようもない魂の平和と喜びに満たされる。

 感謝と賛美の毎日である。