私は東北の小さな町に生まれ育ちました。実家は文房具も取り扱っていましたが、主に書店として商っていました。
私は、10人兄弟の末っ子として、しかも戦時中に生まれたので、楽しいことなど一つもありません。
両親は早く亡くなり、姉が二人いましたが、上の姉は私が物心ついた頃には結婚しており、二番目の姉は秋田市の専門学校に入っていたので実質、男兄弟だけで育ちましたので、甘えることもなく、孤独な思いの中で幼少年時代を過ごしていました。その上、戦時中という特殊な緊張感の中にあり、不安な毎日でした。
そんな折、カトリックに改宗した姉が休暇で家に帰ってきました。
ある日、炬燵に入りながら、神さまがいること、お祈りをして良い子になれば天国に入れることなどを、姉が分かりやすく話してくれたので、聞いていた私は、何の疑問も抵抗もなく、素直に直ぐ信じたのです。
そして、"僕も良い子になって天国に行けるようになろう"と決心しました。それで、姉は子ども向きに書かれた「みおしえの本」を渡してくれて、私はこの本に導かれて信仰を抱き、よく祈るようになったのです。
姉が秋田教会で洗礼を受ける時、小学生であった私は姉に連れられてはじめて列車に乗り、ある修道院に泊めていただきました。とても親切にされ、幸せな気分でした。食事もとても美味しかったです。
翌日、教会の洗礼式に参加したとき、あまりの素晴らしさに感動し、天国にいるような感覚を経験しました。こういう体験が、後で私自身の洗礼や修道院生活への憧れにつながったのではないかと思います。
これもまた、神の導きではなかったかと今も思う、今日この頃です。