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導かれて

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 キリスト者は十字の印を切りつつ「父と子と聖霊の御名によって アーメン」と、祈りを終えたとき唱えるこの言葉を半ば無意識のように口にしますが、実は、誠に意味深長な言葉だと思います。考えれば、考えるほどそのような思いを強くします。

 「父と子と聖霊の御名によって」と唱えつつ、自然に十字を切りますが、このとき、同時に雑念が消え去り、心も清らかに、神を思う一念に徹します。これは、まさに聖霊の働きなのでしょうか。そう言って全く差し支えないように思います。

 十字を切るとともに、すべての行いを聖霊の働きに委ね、力強く行動に踏み切るべきだと思います。それには言うまでもありませんが、今、行おうとしていることが神のみ旨にかなっているかどうかを吟味しなければなりません。それと同時に、その実践方法についても具体的に十分検討し、研究しなければならないと思います。

 日頃気にかかっている複雑•難解な諸問題を、一挙に解決することは到底不可能であります。途轍もなく、非常な困難を伴うに違いありません。

 しかしその難局は、カトリック信徒として、あらゆる努力と祈り、それに聖霊の助けによって必ず打破できるという信念を、常に失うことなく持ち続けなければならないと思います。この10月は、ロザリオの月にあたりますが、ロザリオの祈りを唱えつつ、自分自身の救霊はもちろんのこと、この世の改革・悪の撲滅のために献身することを誓わなくてはならないと思います。

 このようにしてこそ初めて、聖霊に導かれ、み旨に適ったこの世の実現が叶えられるということを、私は強く信じて疑いません。

このお話は10月にラジオ放送されたものです