私の家の前には小さな公園があります。近所の若いお母さまと子どもたちがよく遊びに来て、楽しそうな声が響きます。
ある日、まだ2歳くらいの男の子が、のんびりした声で「お母さん、お母さん、お母さん」と何度も呼ぶのを耳にしました。母親はすぐそばにいるので、用があって呼んでいるのではありません。呼びかけるのが楽しい、そんな声です。
これを耳にし、以前読んだ本を思い出しました。それは、「ロザリオの祈りについて」でした。「アヴェマリア、アヴェマリアってなぜ何度も同じ祈りを唱えるの?」と質問した人に、「それは、お母さんをくり返し呼ぶ子供のような気持ちからですよ。何度呼んでもまた呼びたくなる、優しいお母さんのことを思っているのです。マリアさまは私たちのお母さまですから、くり返しアヴェマリアを唱えるのです」と答えていたのです。
マリアさまはイエス・キリストの母ですが、同時に全人類のお母さまです。ヨハネ19章によると、イエスさまは、十字架上で息を引き取る前に、マリアさまに「婦人よ、ご覧なさい。あなたの子です」と使徒ヨハネを見て言いました。次いでヨハネにも「見なさい。あなたの母です」とおっしゃいました。(参 19・26~27)この時から聖母は人類の母となられたのです。
この二千年の間に、有名な巡礼地のルルドやファティマだけでなく、聖母が世界中でご出現になっておられます。聖母は輝くお姿で現れ「罪を悔い改めて、祈りなさい。周囲の人に平和をもたらしなさい」と言っています。私たちは子どものように「お母さん、私たちにそのようにさせてください」とくり返しアヴェマリアの祈りを唱えましょう。マリアさまへの信頼は、神への信頼につながるからです。