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ふれあい

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 毎日を幸せに生きるために、必要なものは何だろう。人生に生き甲斐を感じ、満たされた心で毎日を生きるには、いったい何が必要なのだろうか。

 幸せに生きるためには、やはり財産や名誉、権力などが必要だという意見もあるだろう。しかし、そのようなものはかえって幸せを奪うことも多い。財産や名誉、権力などは、手に入れたときには満足をもたらすが、しばらくすると「これを失ったらどうしよう」という不安や「もっと持っている人がうらやましい」という妬み、「何とかしてもっと手に入れなければ」という焦りなどを生み出すからだ。それらのものを手に入れたことで思い上がり、周りの人に対して「なぜお前はなぜわたしのいうことを聞かないのだ」というような偉そうな態度をとるようになれば、みんなから嫌われることにもなるだろう。

 それを幸せとは呼び難い。やはり、財産や名誉、権力などにはリスクの方が大きいのだ。

 では、何がわたしたちを幸せにしてくれるのか。わたしは、人との出会いや交わりが大切だと思っている。知り合いと道で出会って、にっこりほほ笑みかけられた。元気よく挨拶を交わした。そのくらいのことでも、心に喜びと力が湧き上がってくる。さらに踏み込んで、相手の相談に乗ってあげたり、何かを手伝ってあげたりできれば、もっと大きな喜びと力が湧き上がる。心の底から湧き上がる、その喜びと力こそが幸せなのだ。

 「こんなわたしでも、誰かのお役に立てた」「あの人に喜んでもらえて本当によかった」、そのように感じることが一日に一度でもあるならその人は幸せな人と呼んでいいだろう。一つひとつの出会いを大切にすることで、喜びと力に満ちた毎日を生きてゆきたい。