▲をクリックすると音声で聞こえます。

ふれあい

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

 「世界ふれあい街歩き」というNHKのテレビ番組があります。世界各国の美しい自然界や歴史的に重要な町、個性的な祭りや伝統的な文化を持つ地方などをめぐる紀行番組です。

 面白いのは、番組がカメラ目線の動画だけで進行することです。

 朝、現地に到着して、出発するとカメラが歩き始め、間で何回も時刻と何処まで歩いたかが地図上にコースとして示されるという具合で、様々な場所に立ち寄り、人と出会い質問し、色々な体験をし、やがて夜を迎えて番組は終了、という至ってシンプルな作りなのに、流れる語り口が自然体で、現地の人とも会話するのです。

 実際はカメラマンか一緒にいるディレクターが質問しているのでしょうが、話し声は毎回色々なタレントが担当して、アテレコで台本に沿って語りますし、偶然会った現地の人と触れ合う会話が内容豊かで、とても楽しめます。美しい自然、エキゾチックな街並み、珍しい食べ物などが目に飛び込むのですが、画面に旅人の姿は無いので、視聴者は自身が街歩きをしているような気分になり楽しめます。

 触れ合うとは文字通り人と人、人と物、物と物が接触しあうことです。接近し、実際にふれて感触を確かめることです。

 急速なデジタル化で、本物と触れ合うことなく何でも分かった気分になる現代人の傾向に不安を感じます。パソコンで世界の街を検索し画像を見るのとテレビの「世界ふれあい街歩き」で実際に街中を動き回り、人と出会い、生活に触れる気分を味わえるのとでは雲泥の差ですし、まして現地に滞在しての本物体験は貴重な記憶となります。

 その上で「ふれあい」とはほとんど偶然の出来事、その後の人生のヒントになるかもしれません。

 ふれあいの機会を大切にしたいものです。