聖書の中に、つぎのようなお話があります。イエスさまのお母様と兄弟たちがやってきますが、群衆に阻まれて、イエスさまのもとに近づくことができないでいました。そこで、イエスさまに「母上とご兄弟たちが、お会いしたいと外に立っておられます」との知らせがありました。するとイエスさまはこうおっしゃいました。「わたしの母、わたしの兄弟とは、神の言葉を聞いて行う人たちのことである」。(ルカ8・21)
血のつながりを超えて、イエスさまとの真の兄弟姉妹としての関わりをもたらすのは、神さまの言葉を聞いてそれを行うことなのだ、とイエスさまはおっしゃるのです。
逆に言えば、イエスさまとの真の関わりをもたらすためには、神さまの言葉を聞いて、それを実行することが何よりも大切なのです。それによって、私たちはイエスさまにより一層親近感を抱き、また、イエスさまご自身も私たちに対して親近感をいだいてくださるのです。
神さまの言葉を聞き、それを実行することによってもたらされるイエスさまとの親近感は、なかなかピンとこないことかもしれません。それでも、イエス様ご自身が、「わたしの兄弟」と言ってくださるのです。
神さまの言葉を聞き、それを実行することとは、何よりも愛の掟を生きることです。自分自身の在り方を一旦、棚に上げて、助けを必要とする人たちにすすんで自らの手をさしのべることです。すすんで苦しむ人たちの隣人となっていくことです。
なかなか難しいことかもしれません。それでもイエスさまとの親近感を深めるためには、このような生き方が必要とされるのです。イエス様ご自身に支えられ、イエスさまとの親近感を保ちながら、私たちは他者に開かれた存在となっていくのです。