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いごこち

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 いごこちがいいとは、快適で気持ちが安らぐという意味なのだろうか。

 わたしにとっては少し違っているかもしれない。

 わたしは、幼い時、養女にほしいと言われたことがある。4歳のころだったと思う。米沢の両親の家を離れ、福島にある祖父母の家に長く泊まっていた。そこに牧師さん夫妻が祖父母の家に来て、庭で遊んでいる私を見ていた。わたしはじっとお二人を見た...。日をおかず、牧師夫妻が来て、「この子を養女にください。大切に育てますから」と祖母に話していた。夫妻はいつくしみをこめて、わたしに聞いた。「わたしたちの子どもになりませんか?」と。わたしは幼いながら、「ケンカをしたりするおうちがいいです」と言った。牧師夫人に「この子は...」と言って驚かれた。

 養女の話が出るには理由があった。家を継ぐはずだった妹が病気になり、私の母はすでに嫁いでいたが、父親の「戻ってくるように」という言葉に従い、戻って、実家の長女として家を継ぐことになった。時を経て、婿養子を迎えて再婚した。結果、当時の傍目からは複雑な家庭に見えた。そのため、家庭にもピリピリした雰囲気がいつもあった。

 しかし、わたしには人間の弱さ、卑しさがある場所の方がいごこちがよかった。

 4歳の頃に養女にほしいと言われた体験は、その後、心のなかにウソくささがなく、真実の親探しといったものが芽生えたと思う。それはその後の人生のもっとも大切な問いとなった。いごこちが良くても悪くても、それを超えたお方に出会った。

 丸いパンの形になり、ご自分を余すところなく与える神、イエス・キリストだった。