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いごこち

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 人間が幸せに生きてゆくためには、自分の居場所がどうしても必要だ。単に、住む場所があるということだけではない。自分の家があっても、家の中に居場所がないという人もいるからだ。そこにいても邪魔にされず、むしろ、あるがままの自分を喜んで受け入れてもらえる場所、それが自分の居場所なのだと思う。自分の居場所を見つけ、家族や友人たちの温もりの中で心からくつろぐ。それは、幸せの一つの形といってよいだろう。

 わたしたちは、人生の中でさまざまな居場所を見つける。赤ん坊は親の腕の中に居場所を見つけるだろうし、子どもは学校の仲良しグループの中に自分の居場所を見つけるだろう。会社では同期の仲間たち、ご近所では同じ趣味を持った人たちが居場所になる場合もある。

 しかし、時には、どこにも自分の居場所がないと感じられることもある。深刻な悩み事を抱え、誰にも相談できないときや、大きな失敗をしてしまい、誰にも会わせる顔がないとき。そんなとき、わたしたちは、どこにも自分の居場所がないと感じる。耳が遠くなったりして、周りの人たちとかかわりを持ちにくくなったときにも、きっとそうだろう。

 そんなときには、家の外に出てみるといい。頬を撫でるあたたかな風が、自分を包み込んでゆくのを感じるとき。小鳥たちが、まるで自分に聞かせようとするかのように美しい声でさえずっているのに気づくとき。まるでほほ笑みかけるかのように、元気いっぱいに咲いた花たちの姿を見るとき、わたしたちは、実はこの世界そのものが自分の居場所であったことに気づくだろう。

 どんなときでも、わたしたちには必ず居場所がある。その幸せを噛みしめながら日々を生きてゆきたい。