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親近感

竹内 修一 神父

今日の心の糧イメージ

 私たちが誰かに親しさを覚えるのは、きっとその人の優しさに惹かれるからではないでしょうか。できれば、自分もそのような人になりたいと思います。それは、そう簡単でないのも事実です。でも、不可能ではないでしょう。

 「天地の造り主である神よ、アシジの聖フランシスコは、貧しさとへりくだりの生涯を通してキリストの姿に似るものとなりました」――これは、彼の記念日のミサで唱えられる「集会祈願」の言葉です。彼は、第2のキリストとも言われました。20代の初期に回心し、それまでの放蕩生活に終止符を打ちます。その後の彼の生活は、周囲の人々を驚かせます。なぜなら彼は、文字通り、聖書の中で語られるイエスの生き方を生きたからです。

 その生き方の原点――それが、「貧しさ」と「へりくだり」です。

 「貧しさ」とは、自分は無に過ぎないということ。そして、そのことを心から確認する時、人は真の「へりくだり」を学びます。両者は「キリストに倣う」ことにおいて一つとなります。この生き方はまた、彼の「単純さ」と「明るさ」において現れます。それは、彼の有名な祈り、「太陽の賛歌」と「平和を願う祈り」に見られるとおりです。

 すべての生きとし生けるものは、同じいのちによって生かされている。だからこそ、それらすべては兄弟姉妹となります。またその生きる目的は、平和にこそあるということ。「貧しさ」と「へりくだり」――その一致が端的に現れるのが、キリストの十字架にほかなりません。

 かつてイエスは、こう語りました。

 「わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい」。(マタイ11・29)だからこそ、彼の周りには子供たちがよく集まりました。

 フランシスコは、そのイエスの優しさに招かれました。