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親近感

松尾 太 神父

今日の心の糧イメージ

 昨年、一冊の絵本に出会いました。ジョアン&ラファエラ・ブラッドヴィカ作、「DONUTS AFTER MASS」(ミサ後のドーナツ)という、アメリカで描かれた4コマ漫画のような絵本です。

 主人公の女の子、エミリーは、イエスさまと大の仲良しです。毎日、いつもイエスさまと一緒で、何でもイエスさまに話します。

 たとえば、友だちとジュースを売って大儲けしようとして、イエスさまに「水をジュースに変えて」とお願いしたりします。

 そんな天真爛漫なエミリーに、ある日、イエスさまが一つお願いをします。いじめっ子でみんなから恐れられ、いつも一人ぼっちのグレースの友だちになってほしいというのです。エミリーは、「それはリスクが高すぎるわ!命を失うかも!」などと叫びますが、大好きなイエスさまのためその願いを聞き、グレースと仲良くしようと奮闘します。

 エミリーは、ドタバタ劇を繰り広げながら、イエスさまとあたたかい友情を育み、周りの人たちとの交わりをも深めていきます。

 ある日、エミリーは神父様に訊ねます。「イエスさまは、十字架にかけられずに世界を救うことはできなかったの?そんなに苦しまないといけなかったの?」神父様は、答えます。「イエスさまの君への愛は、受けた痛みよりも、もっとずーっと大きいんだよ。」すると、エミリーは自分の思いを打ち明けるのです。

 「神父様、わたし時々思うの。イエス様が、そんなになるまでわたしを愛さなかったらよかったのにって。ちょっと胸が痛むもの。」

 エミリーのイエスさまへの愛の深さに、思わず感動してしまいました。

 たとえ困難のうちにあっても、子どものような心で信頼し、痛みさえも分かち合い、愛し続けるお恵みを願います。