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生きがい

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 「たとえ明日、世界が終わりになろうとも、私はリンゴの木を植える」という、マルチン・ルターの言葉があります。それに触発されたのか、同じような感じの絵本や、ガン末期の医師のエッセイなどがあります。

 今、私は大阪のサクラファミリアに勤めていますが、その中のパウロ書店に、いつもニコニコとよく働くブラザーがいます。このブラザーがしばらく前に、ガンだとわかったのです。

 彼とは、ずっと前から出会っていましたが、私が髙松に出向していたとき、よく教会に仕事の関係で泊まりに来ました。社会で言うなら、ルートセールスとでも呼ぶのでしょうか。

 パウロ会の書籍や聖具を訪問販売するわけですが、私が大変だなあと思うのは、ミニバンに荷物を満載して、高速道路を極力避けて、地道で走り、そして、目的地に到着するやいなや、重い荷物を車から運び出すのです。

 そんな働き者の彼は、ガンだとわかってしばらくしてから、毎日「みことば」のメッセージを発するようになりました。毎日のミサにある聖書の箇所を、彼なりに消化し、その感想と、読み解くヒントとを、毎日何人かの方にメールで送るのです。

 そして、送られた人はまた自分の友人に転送していて、今では結構な数になっていると聞きます。多分自分の人生をかけたメッセージなのでしょうか。色々な人からその話を聞きます。ガン治療で入院しているときにも、病院からそのメッセージが発信されるそうです。

 彼の上司も、「ブラザーは病気治療で現場を離れるとがっくりくるかもしれないから、今のままで様子を見ている」と言っています。

 まさに人生の生き方そのもので、毎日リンゴの木を植えているのかもしれません。私もこのように生きたいと思います。