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渇き

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 人間の大人の体の約6割は水。水が不足すると、渇きを覚え、のどを潤したくなります。そして必要なことを促された私たちは、水を補給し体のバランスを保っています。

 食べ物も同様。私たちは毎日食物を食べて生きていますが、活動して力の源がなくなると、体は食べ物を欲する様になります。私たちにとって大切なものがなくなると、欲する様になるのですね。

 そんな私たちですが、大切なものをなくしてしまったり、探すようにまでならないと、大切なものを意識したりするのは難しいかも知れません。

 今の自分にとって、なくなってしまったり、見失ってしまっていて、探しているもの、必要なものはないでしょうか。慌ただしい日常生活の中でも、ふと立ち止まって、考える「時」は大切な様に思います。たとえ短い間、ほんの一瞬であったとしても。

 それは勿論ひとりひとり違うでしょうし、自分の中でも時によって違うこともあるかも知れません。大切なものを考えてみると、先ほどの水や食物、人との交わり、人の温もり、様々な人や事柄などが、思い浮かんで来るのではないでしょうか。

 もし目に見えるものなら気付きやすいかも知れませんが、目に見えないものだとすると、気づくのは難しいかも知れませんね。クリスチャンにとっては神の存在、神との関わり、交わり、ともに過ごす時などは何よりも大切なものなのですが、忙しさの中、別のことで心を奪われて、頭が一杯になり、大切なそのことに気づかず過ごしていることも多いかも知れません。

 渇き。それは人が生きるのに必要なもの、必要な存在を感じさせてくれる大切なもの。自分の渇きを大切にし、渇きを潤して、満たされて、歩んでゆくことができますように。