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委ねる

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 困難や苦しい状況にさらされ、自分の力ではどうすることもできないと感じた時、重いため息と共に、「神様、あなたにすべてを委ねます」という一言が漏れる時がある。

 「すべてを委ねる」。それは、たとえ自分の思いと違っていた結果であったとしても、それを受け入れていくということなのだろう。

 だけど、そう祈りながらも、頭の中では、「まだあれもできる」、「これもできる」、「この方法も試してみよう」など、恐れと不安をかき消すかのように忙しく考えが駆け巡り、自分の力で何とか乗り越えようと必死になってしまう。

 聖フランシスコ・ザビエルの『十字架上のキリストへの祈り』という祈りの最後の一節に次のような言葉がある。

 "あなたが何をして下さらなくても、私はあなたを愛します。望みが何もかなわなくても、私の愛が変わることはありません"

 日本にキリスト教をもたらした聖フランシスコ・ザビエルは、多くの苦難を味わいながらも、すべてを神様のみ旨として受け止め、日本各地にキリストの教えを宣べ伝えていたのだろうと思う。苦難や逆境にあっても、喜びをもってキリストの教えを伝え続けたザビエルの力はどこにあったのだろうか。それは、神様への祈りが、叶うか叶わないかの「取り引きの祈り」ではなく、何も変わらなくても、何も叶わなくてもただそれを神様の望みとして受け入れる「委ねる祈り」だったからではないだろうか。

 神様に委ねること。それは簡単なようで難しい。でも、いつか神様にすべてを委ねなければならない日が来る。

 その日、心から喜んで神様に最後のひと息をお返しすることができるように、日々の歩みの中で委ねることを学んでいきたい。