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共存共栄

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 「大丈夫ですよ」と胃カメラや直腸内視鏡検査の結果を医師から知らされてほっとします。

 天候の悪い時駅で「電車、通っています?」と聞き、「大丈夫ですよ」と言われると、良かったと思います。

 生活の中で人生の様々な折に「だいじょうぶです」という言葉は有難い救いです。

 以前、世界の国々の言葉の「だいじょうぶです」という表現を全部覚えたいと思ったり、小学校で教えたら良いのになあと、考えたりしました。

 韓国語の「クエンチァナヨ」タイ語の「マイペンライ」東ティモールのテトゥン語の「ラブアットイダ」等など。外国語に弱く何も知らないくせに、「だいじょうぶ」と言う言葉を知っていたら、それこそ「大丈夫」と、心がうきうき、嬉しくなります。実は、適した時や正しい発音ではなくても、相手の顔がほころびます。

 違いを越えてお互いに喜び嬉しくなり力づけられる表現です。違いは間違いではない、一緒に豊かさを創り出せる恵みですね。違うけど共に生きる共存は、新しい豊かさを創り出す入口・路ですね。

 そんなに遠くない歴史の中で、「大東亜共栄圏」を目指す国策に翻弄された子ども時代の体験を持つ人々は、共栄という表現が重たいかも知れません。

 人種・民族・国籍・宗教・文化・世代等々違っても、お互いに「だいじょうぶ」と信頼と助け合いを深めていけば、それぞれの多様な可能性が、花開き実を結ぶのではないかと思います。

 橋を造るより壁を造ってしまうような逆流の現代、様々な分野、機会に「だいじょうぶ」の信頼・受け入れ・分かち合い・共に喜ぶ共栄を生きたいです。

 野の草花、空の鳥、母なる大地と向き合い、お互いに「だいじょうぶ」と交わしながら、新しい天地を創り上げていきたいですね。