以前、黙想会でこんなヨーロッパ女性の話を聞きました。ある日、突然、夫が彼女のもとを去りました。さらに、経営していた店が倒産し、子どもたちはみな母親を助けようとせず、離れて行ったのです。
女性が信頼できる知人にこの苦しみを話すと彼はこうアドヴァイスしてくれました。毎日30分、友だちとコーヒーを飲むように、イエスさまとコーヒーを飲んでください。話したいことは何でも言ってください。それから今度は30分、イエスさまの話を聞いてください、沈黙で耳をすますのです。彼女は毎日そうしました。すると少しずつ悲しみや混乱した気持ちが癒され、落ち着きが戻ってきました。状況が変わらなくても平和になり、優しい笑顔が生まれました。突然の試練を受け入れられるようになったのです。
近所の人は不思議に思いました。大変な状況で、この女性が穏やかでいられるのはなぜか、何もかも失ったのに幸福にさえ見えるのはどうしてだろう、と考えたのです。私はこの話に「なるほど」と納得しました。彼女は、一番確かな方、神に心を開き、安らぎを得ていたのです。話を聞いていただくだけなら人間にも代わりができますが、神からの応答は力があります。私たちを愛し、すべてをご存じの神さまに触れていただくと、愛が注がれ、希望がわくのです。そして、次第に問題解決の糸口も見つかります。人間には絶望的な状況に見えても、神にはそうではありません。不可能がないからです。
私も苦しみにあうときは教会や自分の部屋で、ただ黙って神さまに心をさし出します。すると、たいてい、優しく、清らかな愛情が注がれ、「大丈夫なんだ」とわかるのです。