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ときめき

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 一日の仕事を始める前に、その日に出会う人たちの顔を思い浮かべることにしている。幼稚園の子どもや先生たち、教会の信者さんたち、遠くから訪ねて来るお客さんなど、一人ひとりの顔を思い浮かべながら、「よし、今日はこんなことを話そう。あんなことをしよう」などと想像をふくらませるのだ。するとだんだん胸が高鳴り、体に力が湧き上がってくる。出会いへの期待と喜びを力に変えて、一日を始めると言ってもいいかもしれない。

 少し先の仕事のために準備をするときも同じだ。仕事がたてこんでいて、「いやだなぁ。面倒だなぁ」とつい思ってしまうこともあるが、そんなときでも出会う相手の顔を思い浮かべれば、不思議と力が湧き上がってくる。「この行事は、あのおばあさんがとても楽しみにしていたな。教会に来たら、どんなにうれしそうな顔をするだろう」などと想像すると、たちまち元気百倍、もりもりと力が湧き上がって来るのだ。誰かの喜ぶ顔を力に変えて、忙しい毎日を乗り切っていくと言ってもいいかもしれない。

 誰かのために何かをしてあげたい、誰かを喜ばせたいという気持ちを愛と呼んでもいいだろう。愛は、相手を幸せにするだけでなく、わたしたちに生きるための力を与えてくれる。聖書には、愛は「すべてを忍びすべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」とさえ書かれている。(参 1コリント13・7)

 愛さえあれば、わたしたちはどんな試練でも乗り越えることができるというのだ。愛こそ、わたしたちが生きてゆくために神さまが与えてくれた、最も大きな力だと言っていいだろう。

 これから出会う人、自分のことを待っていてくれる人の顔を思い浮かべ、愛を力に変えながら、一日一日を生きてゆきたい。