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挨拶

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 「オアシス運動」というあいさつ運動をご存知でしょうか。「オ:おはようございます。ア:ありがとうございます。シ:失礼します。ス:すみません」。

 どれも簡単なあいさつですが、その一言を発するのが難しく感じたり、その一言で心が温かくなれたりする、魔法の言葉でもあります。

 たとえば、誰かに手伝ってもらった時、素直に「ありがとう」が言えず、自己嫌悪に陥ったり、悪いことをしたなと思っても「すみません」が言い出せずに後悔することがあります。
 だけど、「ありがとう」「すみません」の一言で、お互いの心の緊張が解きほぐされ、優しくなれることもあります。

 また、道行く人に「こんにちは」と声をかけたいのに、気恥ずかしさから黙って通り過ぎてしまい残念な気持ちになることがあります。
 だけど、知らない場所で見知らぬ大勢の人々の中にポツンと一人立っていると、誰かが「おはようございます」と声をかけてくれることで、パーっと心が明るくなることもあります。

 たった一言のあいさつで嬉しくなったり、悲しくなったりするのは、あいさつが「あなたがそこに居る」と、相手の存在を認める偉大な力をもっているからなのかもしれません。

 ヘブライ語の「シャローム」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。「平和」を意味する言葉で、日本語では「こんにちは」にあたるあいさつだそうです。この「シャローム」は、別れのあいさつでも使うようですが、そこには「豊かで溢れるほどの祝福があるように」という意味が込められているようです。

 日頃、何気なく交し合うあいさつ。その一言の中に、相手の存在を認め、祝福を願う心を込めて伝えると、私の心もより一層豊かになるような気がします。