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レジリエンス

シスター 下窄 優美

今日の心の糧イメージ

 本当かどうか知りませんが、鼻の高さについて小学生の頃に読んだことを思い出します。北欧の人の鼻が高いのは、冷たい空気をそのまま肺に送らないためだというのです。鼻を通る時に空気があたためられるので、その部分は容量が大きい方がいいという事のようでした。それなら、寒い所にすんでいたら私の鼻も高くなるんだろうかと思ったものです。人間の体は様々な条件に反応して健康な状態を保とうとしているようです。これもレジリエンス(うまく適応できる能力)と言えるのでしょうか。

 心の場合はどうでしょうか。児童養護施設で働いていた時に、何が原因だったかは覚えていませんが、子どもから言われたことで非常に落ち込み、人間性までも否定されたような大きなショックを受けたことがあります。これが、心が折れるという事なんだと思いました。

 とにかくチャペルの椅子に座って自分の状況をよく見てみようと思いました。それほど私はダメな人間なんだろうかと考えてみたかったのです。その結果、子どもの評価は私自身を傷つけることはありませんでした。私は神様の前で変わらぬ「私」であることに気づいたからです。子どもの言葉は一瞬私の心に大きな杭を打ち込んだようでしたが、それは難なく取り去られて傷跡もすぐに塞がり、しっかり治りました。

 最近、私たちに必要なものって何だろうとよく考えていますが、浮かんできたイメージは革製品の手入れに使われる油でした。油を用いることで、革は強くしなやかになります。油できちんとした手入れをするなら革は長もちし、独特の風合いを持つようになります。折れそうになった心を回復させてくれたのは、私に注がれる"神様のまなざし"という油でした。