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サステナブル

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 先日、出張のついでに、以前働いていた教会の若者たちと会った。

 わたしが近くまで行くと聞いたリーダー格の若者が、せっかくだからと集まる機会を作ってくれたのだ。10年が過ぎ、当時、学生リーダーとして教会学校で活躍していた彼らも、もうそれぞれの就職先で中堅の職員になっている。わたしが結婚式を司式したカップルも何組かいて、その中には、自分たちの子どもを連れてきた夫婦もいた。おかげでたくさんの若者たちに囲まれ、幸せなひと時を過ごすことができた。

 10年前、わたしは彼らと一緒に長い時間を過ごした。教会学校だけでなく、山登りやキャンプなどにも一緒に出かけ、折に触れて大いに語り合った。それらの時間は楽しいものだったが、ときには、「なぜ、若者と関わるのはこんなにも時間がかかるのだろう」と思うこともあった。彼らの相談に乗ったり、突然の呼び出しに応じて出かけたりするために自分の予定を犠牲にしなければならないようなこともあったからだ。

 今回、彼らと久しぶりに会って話しながら、ふとそんなことも思い出した。しかし、今から思えば、彼らのために費やした時間は、今というこの時を作るための時間だったのだ。あのとき一緒に過ごした時間があったからこそ、彼らはこうして結婚し、子どもを生み、それぞれの職場で元気に働いているのだ。

 若者や子どもに寄り添うことは、ときに大きな犠牲を伴う。自分のやりたいことができず、時間を無駄にしていると感じることもあるだろう。しかし、若者や子どものために費す時間のすべては、未来を作るための時間なのだ。そのことを忘れず、これからも彼らのために惜しみなく時間を使ってゆきたい。