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共生社会

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 私たちの生きているこの世界は、ひとりで生きていく世界、ひとりだけで生きる世界ではありません。短いひとときであっても、生きるものと生きるものが触れ合って生きる世界。時間をともにし、場所をともにし、心を通わせる世界ではないでしょうか。

 家族とともに過ごす、学校でともに、職場でともに過ごすなど、ともに過ごすことが多い私たちの様に思いますが、ひとり暮らし、在宅勤務、また様々な事情から、ともに過ごし、触れ合うことが難しくなってきています。以前は、家の周りで人に会ったら見知らぬ人にも挨拶し、声を掛けられた人は挨拶を返す。その様な光景も少なくなっている様に思います。

 ところで人を円にたとえるなら、中心は自分、心でしょうか。人と人が近づくと円と円が接します。ほんの少しだけ接することもあるでしょうし、深く接することもあるでしょう。時には完全に相手の円の中に入ったり、重なり合ったりすることもあるでしょう。

 その様な時、人との関わりはどうなっているでしょう。上から眺められるなら、触れ合い、接し合い、重なり合い、離れるようにも見えますが、無言ですれ違い、沈黙と無関心だけが場を支配していたなら、心と心の触れ合い、接し合い、重なり合いはなかったのでしょう。

 私たちはともに生きています。日常の生活の中で、人と直接会う方、スマホなどを通して会う方もおられるでしょう。また会えなくても電話をしたり、メッセージや手紙を送って、離れていても繋がって生きていることを実感しながら、生きてゆくのは大切なことですね。私たちが日々出会う人を大切にしながら、歩んでゆくことができますように。今日も神様の恵みと祝福が豊かにありますように。