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沈黙

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 心を亡くすと「忙しい」という漢字、心が荒れると「慌ただしい」の漢字になりますが、私たちはいつの間にか心を亡くし、心が荒れ、忙しさ、慌ただしさの中で、毎日を過ごしているのではないでしょうか。

 私たちの周りには、様々な音、沢山の情報があり、シャワーを浴びる様に生きています。その様な中にあって、たとえ短い時間でも、一瞬であっても、静けさ、沈黙の時間を持つことは、私たちにとってとても大切なことの様に思います。

 静けさ、沈黙。心のざわめきを沈め、しばらく時間を過ごす。一人で過ごす時もあれば、誰かとともに過ごす時も、また大切な方の存在を想い、感じながら過ごす時もあるでしょう。

 それは暖かな陽の光に照らされ、暖かさを感じながらまどろむ様な時と表現できるかも知れません。私たちにとって、休息の時、自分自身を見つめ直す時、心洗われる時であり、新たな出発への準備の時、様々な時になるでしょうね。

 ところで私たちは誰かとコミュニケーションする時、主に言葉や体を使います。しゃべる、話す、手紙やメールやメッセージを送るのもその表れでしょう。でも言葉を発しなくても、体の動きを相手に見せなくても、心の想いを表わすことができます。

 沈黙のうちに相手に自分の心を向け、大切な人のことを想う時は誰しもあるでしょうね。相手が近くにいても遠くにいても。その様な時も私たちを新たにしてくれる様に思います。

 忙しさ、慌ただしさの中にある私たち...。ふと立ち止まって、静けさ、沈黙の時を持つ。一人で過ごす、誰かとともに過ごす。言葉で語るのではなく想いのうちに過ごす。静けさ、沈黙の中で。その様な時を、私たちが今日大切にすることができます様に。