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沈黙

中井 俊已

今日の心の糧イメージ

 私たちが苦しいとき、辛いとき、神様は沈黙しているのでしょうか。

 そうではありません。声は聞こえなくても、神様は私たちの心にいつも語りかけています。特に祈り求めている人に、神様は、直接に間接的に、助けや励ましを与えてくださいます。

 日本で、キリスト教が迫害された時代もそうでした。

 厳しい迫害ゆえに、多くの人が信仰を捨てましたが、殉教した人も数多くいます。

 1597年、長崎の西坂の丘で、後に続くキリシタン迫害の初穂となり、世界の人々から尊敬されている日本二十六聖人たちもそうでした。殉教したといっても、彼らは肉体的精神的に強い人間だったわけではなく、弱さをもった普通の人たちでした。64歳のディエゴ喜斎のような高齢者もいれば、現代の小中学生に当たる年齢の子どももいたのです。

 例えば、最年少12歳のルドビコ茨木。刑を執行する役目にあった長崎奉行代理は、彼のいたいけな姿を見て哀れに思い、「信仰さえ捨てれば、私の家に引き取って武士にしてやるが、どうだ」と誘いかけます。しかしルドビコ少年は、「私は人の気に入るために神様に背くことはできません」ときっぱり断ったのです。

 この少年を初め殉教者たちは、強かったのではなく、強められたのです。そこには確かに神様の働きかけがあったことを、教会も世界の人々も認めています。

 いつの世も、現代もまた、神様は沈黙することはありません。

 『聖書』、霊的な書物、聖人の模範、教会の教え、発行物、インターネット、ラジオなどを通しても、私たちが真理を知り、恵みが与えられるようにメッセージを発信されます。そうして、この世とその後の永遠の幸福に導いてくださいます。