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新たな出発

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 多くの日本人は、正月元旦に初詣をします。それは新しい気持ちで新年を迎え、1年の祝福を神仏に祈願するという目的からでしょうが、それだけでなく、今年こそ、こうしようという新たな自己創造を決意するためでもあるのでしょう。

 私は大学で人間学を講じてきましたので、始終、人間って何だろうかと考えて生きてきました。そして、最近気づくことは、人間は何でも知り、何でも愛し、何でもすることができる、神の似姿として造られた存在ではないかということです。ただ多くの人々は、その真実を知らないために、人間って何てつまらない生き物だろうと思っています。

 ところが、人間という生命は、生来自分の考えや感情という創造力を持っているので、自分のアイディアや計画を実現することができます。けれども、幾ら能力や才能があるからといって、自動的に物事が実現するわけではありません。それは可能性に過ぎません。何かを実現するためには、まず自分にはその可能性と能力があることを信じ、次に、こうしたいんだという望みを持ち、やればできるという信念を持って、努力することです。後は一歩一歩たゆまず努力し、実行するならば、「思う念力岩をも通す」という諺ではないが、何事も実現するでしょう。

 私の若い時の願望は、出版業か学校の先生かカトリックの神父になることでしたが、振り返ってみれば、その全部をしたことになります。学校は定年退職しましたが、今でも人々に教えていますし、神父としての活動もしているし、書籍の出版も行っています。ですから、何事も信じて、望んで、トライすることではないでしょうか。