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まなざし

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 人のまなざしは雄弁だ。愛情ある暖かいまなざし、疑い深いまなざし、尊敬のこもったまなざしなど様々な表情を見せる。

 聖書を読むとわかるが、イエスは周囲から罪深いと思われていた人を決してそのようには見なかった。たとえば、井戸のそばで出会ったサマリア人女性。彼女は町で評判が悪かったので人目を避け、暑い時刻に水をくみに来た。イエスは彼女に水を飲ませてほしい、と頼む。初めは警戒していたが、女性は少しずつ心を開く。イエスのまなざしが他の人のようではなかったからだ。語りあううちに女性は本来の自分を取り戻していく。まなざしは心の表れだから。

 さて、日本には外国人の就労者が大勢いる。多くは苦しい事情を抱えた人たちで、過酷な仕事を低賃金で引き受けている。私たちは彼らをどのようなまなざしで見ているだろうか。

 彼らはビザが1日でも切れると「非正規滞在者」とみなされ、無期限で長期間収容されることになる。ひと部屋に2~3人が住み、外出は許されず、1日の大半はその部屋から出られないので心身の健康を損なう人が多い。また、病気になっても健康保険証がなく治療を受けられない。時に、入国管理局が幾人かに「仮放免」として施設外の生活を認めることもあるが、就労が禁止され、居住地から移動の自由もないので仲間や支援者からの援助で苦しい生活をしている。このことは公にマスコミで報じられている。

 外国で就労できず、一切の社会保障がなければ、どうやって生きられるだろう。私たちは同じ人間として彼らを支援しなくてはいけない。

 神さまが人を見つめるように、私たちも彼らを見つめられるよう、主よ、どうか助けてください。