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堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 カトリック教会には、神様を信じて歩む時に助けとなる7つの秘跡がある。その一つが「ゆるしの秘跡」だ。司祭の前で自分の過ちを告白し、神様から離れてしまった自分をゆるしていただき、父なる神様のふところに帰る恵みを授かる。

 「カタリ、カタリ」、別名「薄情け」、この歌はナポリ出身のテノール歌手エンリコ・カルーソのために、カルディッロが作曲し、コルディフェロが作詞をしたものだ。多くの歌手は1番から3番までを歌い、カタリという名の娘に恋い焦がれる青年がにべもなく振られたというくだりを情感たっぷりに歌いあげて終わる。

 ある日、ルチアーノ・パヴァロッティが歌う「カタリ、カタリ」を聴いていた。パヴァロッティは1番から5番までを歌い、3番に戻って歌い終えた。この歌には3番以降があったのを私は知らなかった。

 この日は、教会で青年が祈り、ゆるしの秘跡を受けて、司祭のすすめの言葉があることが、なぜかかすかにわかったので、「あれ、こんな歌詞だった?」と、改めて和訳を読んだ。

 要約すると、「カタリ、あなたは知らないと思うけれど、私は教会にまで来て神様に祈った。そして司祭に、『私はあの娘のために信じられないほど、苦しんでいます』と打ち明けた。あわれみ深い司祭は私にこう言われた。『そうだね、娘さんをそっとしておやりなさい』と。」

 聖ヨハネ・ボスコが「汚れた皿に料理を盛り付けてはならない」と言ったように、洗った皿に魂の糧である丸いパンの形をしたご聖体の秘跡を受けた時、青年の心にどのような変化が起こるだろうか。同時に、叙階の秘跡を受け、青年にゆるしを授けた司祭にも何という権能を授かっていることだろうと、そのお恵みに想いを馳せずにはいられない。