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湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 「糧」と言えば一般に食べ物の事を想うでしょう。太平洋戦争末期の食糧難の日々を思い起こすと、今の日本の食生活は世界中のグルメが楽しめる、正に夢の国のような豊かさです。しかし何かが足りない気がします。 

 【人はパンのみで生きるにあらず、神の言葉によって生きる】と聖書にあります。(参 マタイ4・4)「人は肉体と心、そしてその奥に魂を持っている」と私はある時知りました。肉体を養う糧に食物が必要なように、心を養う糧として知識や経験など、精神活動が必要です。

 魂は「神のいのちが注がれた聖なる祈りの場」と言われます。だから神のみ言葉が糧として必要ということなのでしょう。

 ところで命あるものは必ず死にます。人も死んで肉体も精神活動も滅びます。しかし魂は死なず、生き続けるようです。神は愛をもって命を与えた人間が一人も滅びず、光の中で神のいのちと共に永遠に生きることをお望みです。それで御子キリストを救い主としてこの世に遣わされました。 

 キリストは【全世界を得ても、自分の命を失えば何の得があろうか?】と諭し、魂を救うためには【神と隣人を全身全霊で愛せよ】と説かれました。しかし欲深く弱い人間が自分を無にして神と隣人を真に愛することはとても難しいです。私の頼りは聖パウロの次の言葉です。 

 【いつも喜んでいなさい。たえず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。】 (1テサロニケ5・16~18)

 天を仰いで祈ると、人の思いをはるかに超えた神の視点で自分の心をみつめ、己の誤りに気づかされ、謙虚になれます。そして、全てが神のみ手の内にあり、信仰薄い未熟な私も神に愛されていることを悟り、感謝して全てを委ねると、喜びが沸きあがるのです。これぞ祈りによって天から注がれる「魂の糧」、生きる力だと思います。