▲をクリックすると音声で聞こえます。

授かったもの

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 「授かったもの」。

 もし私が結婚して子供を生んでいたとしたら、真っ先に"子ども"という事だろう。だけど、私はシスターだから結婚もしていなければ、子供もいない。私が「授かったもの」は何だろうか、と思いを巡らしていると、ふと私は、私のいのちを、たった一度きりの人生を神様から授かっている、ということに気づき、感動を覚えた。

 私の人生だけど、それは神様から授かった大事な人生。その人生をどのように生きるかは、人それぞれに任せられている。結婚して家庭を築く人生もあれば、仕事や社会活動に打ち込む人生もある。そして、司祭や修道者となって神様に生涯を捧げる生き方もある。それぞれに授けられた人生を、どのように豊かにしていくかは千差万別。

 聖書のタレントのたとえ話を思い出す。(マタイ25・14~25)それぞれが預かったタレントの数は違うけれども、それぞれの方法で豊かにし、神様に差し出すとき、増えた数がどうであれ神様はその豊かさを喜ばれる。私が授かった人生も、神様から預かったタレントなのだろう。

 神様に預かった一度きりの人生というタレント。大事に土の中に隠しておかず、色々な可能性を信じて挑戦してみるのもいいのかもしれない。時には放蕩息子のように的外れな行動をとるかもしれない。でも神様はいつも「あなたの人生はどこに向かっている?」と、人生を立て直す機会を様々な方法で与えてくださる。

 そしていつか、神様に授かった人生を神様のみ前に差し出すとき、時には傷つき倒れながらも苦楽を重ねてきた日々を、神様が喜んで受け取ってくださると信じて、今日のこの日を精一杯生きていきたい。