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いつくしみ

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 ありのままの自分でいられ、気兼ねなく過ごすことができる。その様な時、その様な場所、その様な物はあるでしょうか。その様な人はおられるでしょうか。それはぽかぽかと暖かな陽の光に包まれて過ごす、そんな感じなのかも知れません。

 場所や物は、人が誰かにする様に、言葉を語り掛けてくれるわけではないのですが、何か話しかけられたり、語りかけられたりする様に感じたりすることもあり、自分にとって大きな力になることもあります。これはとても不思議なこと。

 人の場合はというと、場所や物以上に大きな影響を与えてくれます。生きている存在なのですから。人には感情があり意志があり、その心の想いや心の内を外に出すこともでき、出さないこともできます。言葉で語りかけたり、行動や仕草で自分の内面をあらわにしても、しなかったとしても、心をかけることができる存在です。

 自分は独りぼっちと思っていても、どなたかが心のうちに寄り添い、見守り、心をかけて下さっているのでしょう。私たちは誰かに支えられ、想われ、慈しまれながら生きている、そんな存在なのでしょうね。

 そのことに気づくなら、私たちは独りではないことがわかります。そこから力をいただき、力強く歩んでゆけるでしょう。さらに進んで、私たちも周囲の人に目を向けて、心を向けて大切にし、見守りながら慈しみながら、ともに歩むことができる様に思います。

 家族、友人、仕事場の人、お客様、今日出会う人。ともに生きる人、出会わせて下さった人々を大切な存在として受け止め、慈しみながらともに歩んでゆければ嬉しいでしょう。私たちが慈しみ、慈しまれながら、今日という一日を大切に歩むことができます様に。