私は、現在神父の養成所である神学院に勤務しています。神学生たちは日曜日に、将来神父になったときの準備として、色々な教会へ奉仕に出かけます。私も時々、陣中見舞いに、神学生たちが通っている教会を訪ねることがあります。
先日ある教会に、神学生が元気でやっているか、信者の皆さんに神学生がお世話になっていますと挨拶をするために礼拝式に参加しました。
すると入り口で、とっても素敵な写真と出会い、しばらくじっと見入ってしまいました。その写真は、2、3週間前に行われた、母と娘さんの洗礼式だったのです。
満面の笑みをたたえた、小学1年生の女の子が主人公でした。洗礼の清めを表す白い衣服に身を包んだその子は、目をつぶり、口をまあるく開け、人生の最高の時でもあるかのように、体全体でその喜びを表していました。それに呼応するかのように、その教会の神父さんも笑顔で、その子の額に水を注いでいました。
よくその写真を見ると、その後ろにお母さんの喜びの顔も見えます。カトリック教会は、幼児洗礼を認めています。小さな子供は、両親の生き方の中で、言葉や考えや意志を超えた雰囲気の中で育まれるという理由からです。
私の大好きな絵本の中に長谷川義史さんの「ようちえんいやや」という絵本があります。多くの子供が、幼稚園行くのを色々な理由で「いやや」とだだをこねるよくある話なのですが、最後に「ぼくは、わたしは、お母さんと一日一緒に居たいだけなんや」と本音を言う絵本です。
お母さんと一緒に、お母さんと同じ大切な道を歩もうとする喜びに満ちたこの写真に、私も自分に与えられた道を喜びを持って、しっかりと歩もうとの気持ちになったのです。